本日はよろしくお願いいたします。まずは、経歴を簡単に教えてください。
よろしくお願いします。まず私は、行政書士として開業する前に、米国企業の日本法人と日本の一部上場企業で会社員として勤務していました。その時代には、外国人との日常的なやり取りが多く、今振り返ると、その経験が現在の業務に非常に貴重だったと感じています。行政書士の資格は、まだ会社員だった時に取得しました。
中小企業診断士の資格については、会社員を辞める前に一次試験はクリアしましたが、二次試験が非常に難しく、合格するまでに苦労しました。合格前年には、合格点にわずか1点足りないという経験もしましたが、その1年間で追加で得た知識が、経営に関する理解を深めることに繋がりました。現在は、東京都行政書士会で他の行政書士に対し、在留申請に必要な事業計画の作成方法の講師をすることもあります。また、非常勤講師として大学でもビザ・在留諸制度について講義を行っています。
現在の業務では、クライアントは大手企業からビジネスを始める方々まで幅広く、ビザ専門の行政書士として、また中小企業診断士として、各クライアントに最良の解決策を提供することに努めています。
そうすると、業務内容的には主に外国人のビザ取得の支援になるのでしょうか。
私たちが提供するサービスは、ビザ取得の支援だけでなく、クライアントのビジョンや目標、ニーズに合わせたサポートを継続的に行い、実現へと導くお手伝いをしています。これは、私が開業するにあたって掲げた目標の一つであり、現在の仕事を天職と感じています。
ありがとうございます。ビザ・在留資格はさまざまありますが、中でも注力しているのはどのような在留資格でしょうか。
私たちのクライアントは主に企業であり、そのため就労系の在留資格を多く取り扱っています。具体的には、「技術・人文知識・国際業務」、「企業内転勤」、「高度専門職」、そして「経営・管理」の在留資格です。特に、「経営・管理」ビザに関するご相談が多いです。また毛色が少し違うのですが、海外のアーティストやモデル、スポーツ選手の在留資格である「興行」についても相当数サポートさせていただいております。
注力という意味でいうと経営管理ビザは、私は診断士という肩書もあるので、得意ですし特に力を入れています。
どういった方からのご相談が多いのでしょうか?守秘義務に反しない範囲で教えていただけますか。
私たちのところには、日本で新しい事業を立ち上げたいと考えている外国籍の方々からのご相談が多く寄せられます。また、海外で既にビジネスを展開されており、日本市場への進出を目指す方からのお問い合わせも多いです。業種はさまざまですが、皆さまやはりご自身の強みを発揮できるビジネスを展開されることが多く、貿易や日本にいる外国人の方向けのサービスといった事業内容が比較的多いです。
ありがとうございます。たとえば経営管理ビザですが、取得できるまでの期間はどのくらいかかるものなのでしょうか?
経営管理ビザの場合、実際のところ、私が実務を行っている限りでは、半年から1年くらいかかるケースも少なくありません。
半年から1年ですか、結構長い期間を要する手続きなのですね。
はい。申請する入国管理局によっても、許可が出るまでの期間は異なります。地方の入国管理局の場合、1ヵ月で許可が下りることもありますが、東京のように申請件数が多い場所では、半年から1年以上かかることもあります。また、申請内容によって審査期間が変わることも、経験上よくあります。
入管の窓口や申請する人のおかれた状況によっても変わってくるということですね?
東京は特に審査期間が長いです。申請件数が多いですし、申請する方も多種多様なので、どうしても時間がかかってしまうのだと思います。ですので、クライアント様と相談するなかで、もし東京都で起業するのであれば、東京都の「外国人創業人材受入促進事業」を活用して、経営管理ビザの取得を目指すケースも多くあります。
窓口への申請件数によっても左右されるというわけですね。その経営管理ビザですが、許可が出るためのポイントを教えてください。
経営管理ビザの申請に際しては、まず、満たすべき条件を漏れなく満たしていることが最も重要です。具体的には、資本金の出資額や事務所の要件など、必要な条件がきちんと満たされているかを確認します。これらの基本条件を満たしていることが前提となりますが、その上で、事業計画の重要性が最も大きくなります。
富塚さんは中小企業診断士でもあるわけですが、行政書士と中小企業診断士、2つの資格から見えてくる、経営管理ビザにおける事業計画のポイントについてもお聞かせいただけますか。
経営・管理ビザの許可が下りるかどうかの決め手は、事業計画にあると考えます。ビザ申請に際しての事業計画は、これからのこと、未来に向けた計画を読み手である入国管理局の審査官に理解してもらい、納得してもらう必要があります。事業計画書は口頭ではなく、書面で伝えるため、審査官にスッと理解してもらえるような事業計画であることが重要だと思います。
中小企業診断士として、多くの事業計画書を見てきましたが、プロが作成したものかどうかは一目でわかります。必要な情報を選択し、計画書に盛り込むことが重要ですが、不要な情報を省き、計画書のボリュームを適切に保つことも大切です。読み手が必要な情報をすぐに見つけられるような構成が、プロの事業計画書には見られます。このような事業計画書を作成するためには、経験と技術が必要です。
行政書士+中小企業診断士の組み合わせはそれほど多くないと思いますが、ビザを取る上で、またビザを取った後で、中小企業診断士でもあることの特色のようなものはありますか?
ビザ取得は、私たちが提供するサービスのスタートラインの位置づけです。実際に日本で事業を成功させるための視点で、お客様と真摯に向き合っています。特に新たに創業される方々は、人材、物資、資金、情報といった経営資源が限られていることが多いです。中小企業であれば、利用可能な補助金や融資があり、私たちはその活用をお手伝いすることができます。
冒頭で行政書士会の業務研修でも講師をされているとのことでしたが、どういったことをお話されたのですか?
東京都行政書士会で行われた研修では、行政書士の先生方に向けて、経営管理ビザ申請に必要な事業計画書の作成に関するポイントをお話ししました。
具体的には、事業計画の基本的な定義から始め、事業計画書を作成する際に役立つ知識やフレームワークについての講義をさせていただきました。
※研修資料の一部
経営管理ビザは、需要としては増えているのでしょうか?
経営管理ビザで日本に入国される方の数は、2018年からの5年間で倍増しています。私自身も、経営管理ビザに関するお問い合わせやご相談が非常に多くなっていると感じています。ただし、経営管理ビザは取得が難しい在留資格であり、近年ではその難易度がさらに高まっていると感じます。
私たちがサポートを開始する際には、この点をクライアント様にご説明し、ご理解いただいた上で、全力でのサポートを行っています。事業計画の作成は最も重要な部分であり、クライアント様との綿密なコミュニケーションが不可欠です。そのため、経営管理ビザの申請準備を始める時には、しっかりとした認識合わせを行っています。
ありがとうございます。話題が急に変わりますが、今日こちらにお邪魔してみて、アクセス的にも非常に便利な場所にあるなと感じました
はい、当事務所は渋谷駅から歩いて約5分の距離にあります。山手線の線路を挟んで宮下パークの隣に位置しており、外国人の方も多く訪れるエリアです。
ご相談はネットで行われることが多いとは思いますが、外国人の方が直接に相談される場合でも、便利な場所ですね。最後に、これから経営管理ビザの取得を予定している方に対して、何か専門家からのアドバイスがあればお願いします。
経営管理ビザは取得が難しい在留資格ですが、しっかりとした事業計画書とそれを支える資料を準備できれば取得の可能性をグッと高めることができます。これから経営管理ビザを取得しようとされている方の頭の中にはビジネスプラン、アイデアがあると思います。
ただ、このプランやアイデアを他の人にわかってもらうこと、書面に落とし込むことは意外に難しい作業ですので、早い段階から準備をされることをお勧めします。
これから事業を始めようという段階ですと、ビザ申請の準備の時間が取れなかったり、実際に事業計画の作成に取り掛かろうにもどこから始めればいいかわからない、といったケースも多いと思います。そういった場合には、私たちのような専門家をうまく活用されるとよろしいかと思います。